episode17
「おじたまが怒るわけないじゃん!ショックと悲しみでナメクジみたいになってたけど」
「でも本当にうざかったとはいえ酷いこと言っちゃった…」
「いや今の言葉の方がよっぽど酷いからね!?」
反抗期ゆっきー容赦ないなー。
元が素直なもんだから悪びれることなく毒吐くね。
「だってうざいのはうざいの!私たちもうすぐ社交界デビューする歳なのに、いつまでも子供扱いばっかり!あんまりだよ!」
「確かにねー、年頃の女の子に"お馬さんごっこ"はあんまりだよね」
「言葉遣いもマナーもちゃんと出来るのに。もう子供じゃないのに……」
そういえばお母様がこの前「もうすぐあなたたちも夜会デビューよ」なんて仰ってたな。
ドレスを決めなきゃってご機嫌にはしゃいで、ゆっきーもすごく楽しみにしてて。
……あー、だからか。
社交界デビューするってことは一人前の貴族女性として認められるということ。
特に玖蘭家は元王族だから普通の貴族令嬢以上のものが求められる。
最近ロッテンマイヤー先生のお作法の授業が厳しくなってきたのもそのせい。
優姫は優姫でプレッシャーに感じてたのかなぁ。
「玖蘭の姫」に相応しいレディにならなきゃいけないって。
感極まってポロポロと泣き出しちゃった優姫に苦笑する。
その真っすぐな髪をよしよしと撫でてあげた。
「でも優姫だっておじたまが意地悪で言ってるわけじゃないことくらいわかるでしょ?おじたま、残念ながらあれが素なんだから」
「うん……」
「それどころかおじたまは私たちをすごく大事にしてくれてるじゃない。……まぁ確かに時々鬱陶しいけど」
「うん、」
「おじたま自身がいつまでも子供みたいなんだから、これからは優姫が大人になってあげなきゃ。おじたまきっとまだめそめそ泣いてるだろうから無視するのはやめて話してあげなよ」
「うん」
頷いた優姫は涙の跡の残った顔で少しだけ笑っていた。
って自分で言っといてなんだけど私あんまりフォローになってなくない??
むしろおじたまのことかなり扱き下ろしてない??
ま、でもいっかー、本当のことだし☆
ゆっきーがまた笑ってくれたからノープロブレム!
「ほら、ミルクティー冷めちゃうよ、早く飲んで」
「珠姫、お茶淹れるの上手になったね」
「ふふん、でしょう?」
姉妹だけのお茶会もたまには良いもんじゃない?
―6/9―
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