episode17
それから三日。
ゆっきーの反抗期は治りませんでした。
むしろお母様の加担によってエスカレート。
断固として「おじさま」呼びを続けています。
挙句の果てにはおじたまのことを無視する始末。
おじたまはやつれるほどショックを受けながらも前よりもさらに鬱陶しく…じゃなかった、粘り強くゆっきーに構っています。
素晴らしいドM根性ね☆
「優姫、ほら、お前の好きなアップルパイだぞ」
「……」
「新しい靴も買ってきたんだ。欲しがっていただろう?」
「……」
「そうだ、あとでお馬さんごっこしよう!おじたまの下僕たちも呼んでメリーゴーラウンドをしてもいい!」
「だから子供扱いしないでって!」
うん、おじたま、十二歳の女の子に「お馬さんごっこ」はないよ……。
でもそのメリーゴーラウンド、私は興味あるけどね!
「おじさまうざい!もう話しかけないで!」
叫んだ優姫は部屋へ戻ってしまいました。
「ゆ、優姫が僕に……うざい、なんて……そそそれに、話しかけないで…と……」
「お兄様、煩わしいです」
「伯父様、面倒くさいです」
「お兄様、鬱陶しいです」
「伯父様、死んでください」
「黙れお前ら!!!」
こういう時のお父様とお兄様は双子のように息ぴったりだなぁ。
うふふー、萌えるー♪
そう言っていられたのも翌日まで。
なんと優姫はおじたま完全無視を始めたのです。
それも日に日にエスカレート 徹底的におじたまを避けはじめました。
そしておじたまをスルーしてから一週間。
今日はなんと毎日恒例のお茶会にも顔を出しませんでした。
あのゆっきーがお菓子を食べる機会を逃すなんて!!
さすがにお父様やお母様も心配になったのか不安そうな顔をしています。
おじたまはシュゥゥと塩をかけたナメクジのように萎れていました。
HPはもうゼロに近いようです。
よっぽど優姫の無視が効いてるみたい。
さすがに可哀想かなー。
よし、珠姫ちゃんが助けてあげよう!
「おじたま」
「ああぁ、珠姫……。お前はまだそう呼んでくれるのか……」
「もちろんよ、おじたま」
だって珠姫は生まれる前に反抗期過ぎちゃってるからね☆
「優姫は私が少し説得してみるから、そんなに落ち込まないで」
「珠姫っ……!」
「その代わりに、この前おじたまが大事にしてたラジコンカーを壊しちゃったって言っても怒らないでくれる?」
「え……?」
「許してくれる?おじたま」
必殺☆うるうる上目遣いビーム!!
「と、当然だ!おじたまは珠姫がしたことならなんだって許してやるぞ!」
やったー、交渉成立♪
「涙目になってますよ、お兄様」
「そんなことはない!マイエンジェルに壊されたなら僕のラジコンカーも本望だろう!……うっぅっ……」
―4/9―