とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode17


「なぜこんなことになった……」


この世の終わりのように打ちひしがれるおじたま。
ゆっきーはお茶を飲み終えるとすぐさま自室へ戻って行きました。
あー、こりゃ本格的かもね。
でもかなり急だなー。
昨日までは普通に「おじたま」と呼んでたのに。
ああでもそう言えば思い当たる節があったような……。


「もしかすると昨日のテレビのせいかもしれないわ」

「どういうことだ珠姫!?」

「昨日、お母様と優姫と一緒にドラマを観ていたの」


殿方たちは近頃ビリヤードにハマっているから知らないだろうけど、今期やってるドラマが面白いのよー。
『禁恋〜義母は俺の幼なじみ〜』っていうんだけど、ヒロインと年の離れた夫と同い年の義理の息子との三角関係っていう泥沼恋愛モノなの。
ちょっと際どいシーンもあるんだけど、だからこそ人気なのよね。

『そうそうおじさま、それでね』
『こら珠香』
『あっ…、利斗さん』
『また呼び方を間違えたな。……そんな子にはお仕置きだ』
『だめよ…、もうすぐ万里が帰って来るのに……、あっ』

こんなシーンをお母様の隣で観るのってちょっと恥ずかしいけど、お母様ったら率先して一緒に観ようと誘って下さるの。
「先々の勉強になるから♪」なんて言ってww
お母様、娘たちにどんな勉強をさせようとなさってるの!?ww

でも優姫はラブシーンに対するときめきやそれを親と一緒に観ることの気まずさよりも、別の事が気になったようです。


「ねえ、お母様、なんで「おじさま」なの?「おじたま」じゃないの?」


ゆっきーは何故かショックを受けたような顔をしています。
え、もしかして「おじたま」が普通の呼称だと思っていたの!?
……かわいいな!!


「ふふ、一般的には「おじさま」が正しい呼び方なのよ。でも李土に対しては小さかったあなたたちが「さま」ってちゃんと言えなくて「おじたま」になったの」

「じゃあ小さい子が使う呼び方なの!?」

「そうとも言えるわねー」


能天気にそう言って視線を再びテレビに戻したお母様の隣で、優姫は深刻そうに黙りこんでいました。


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