episode17
それはある日のティータイムのことでした。
今日のお菓子はお母様特製のタルトタタン。
テーブルを彩る薔薇はお父様が手ずから摘んでくださったもの。
最近は練習がてら私が淹れるようになった紅茶をにこやかに褒めて下さるお兄様。
そんないつもの穏やかな時間は、優姫の放った一言で崩れ去ったのです。
「おじさま、お砂糖とって」
……ん?
んんん???
あれー、何だろうこの違和感……。
何か変だなーと首を傾げていると、ガシャンという大きな音を立てておじたまが紅茶を零しました。
その顔は今まで見たことのないほど青褪め、面白いほど小刻みに震えています。
「ゆゆゆゆ優姫、今何と言った?」
「お砂糖とって」
「違うその前だ!」
「おじさま声が大きい」
「それだ!なぜ……、なぜ『おじたま』と呼ばないんだ!!」
絶叫したおじたまはガチ泣き。
対する優姫は不機嫌そうに口をへの字に曲げています。
あらあらこれは……
「別に、もう子供じゃないんだからいいでしょ」
「優姫ぃぃぃぃいいいいい!!!」
どうやらゆっきー、反抗期に突入したようです。
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