episode16
「具合はどうだマイエンジェル!お前のことが心配で心配でおじたまは眠れなかった…、――ぐあっ!」
おじたまの額に氷枕がクリティカルヒット!
お兄様、ナイスコントロールです!
「痛いじゃないか枢!」
「伯父様が騒がしいからですよ。珠姫の体に響くでしょう。それに入って来るタイミングが最悪です」
「そうよ、李土!せっかく珠姫と優姫の可愛い写真が撮れるとこだったのに!」
「なんだと?」
お母様の言葉におじたまは今まさに「あーん」をしようとしている私と優姫を見ました。
するとその色違いの瞳がキラキラと輝いていきます。
「優姫!おじたまが代わってやろう!僕が珠姫に「あーん」をする!」
「何を言ってるの李土のバカ!」
「バ…カ、だと?樹里が僕をバカと……っ」
「あからさまに嬉しそうな顔をしないでください、気持ち悪いです伯父様」
お母様にバカって言われて頬を染めるなんて、おじたまの変態!ドM!
やっぱり玖蘭家の血筋ですねー。
「わぁ…、おじたま気持ち悪い」
ちょwwwゆっきーもそこでぼそっと言わないのwww
おっとっと、スプーンからりんごが落ちちゃうとこだったよ。
大丈夫よおじたま、珠姫はそんなおじたまも好きだから。
でも今だるくてフォローが出来ないのー、ごめんね☆
「何やら賑やかだね」
そこに今度はお父様まで現れました。
その手にはお盆に乗ったお薬とお水が。
メイドたちもいるのにわざわざ自分で持ってきて下さるなんて…!
珠姫は感激です!
もぐもぐ…、あ、このりんご美味しい。。
「みんな揃ってどうしたんだい?」
「ふっ…、来るのが遅いぞ悠!僕が今から珠姫にりんごを「あーん」する様をそこで指をくわえて見てるがいい!」
「な…っ、それはずるいですよお兄様。僕は珠姫の父親なんですから僕にこそ「あーん」の権利はあるはずです!」
もぐもぐ。
「お前はそう言って離乳食の時にも僕に順番を回さなかったじゃないか!」
「たった二回じゃないですか!それなら言わせてもらいますけど、珠姫と添い寝した回数は僕よりお兄様の方が一回多いんですからね!」
「だっこした数はお前の方が二十回は多いだろう!」
「父親なんですから当たり前です!」
もぐもぐ。
「もう二人とも!そんなことで喧嘩しないの!それに悠、今回は李土が悪いのよ?優姫が珠姫に「あーん」するはずだったのに自分がしようとするんだから」
「そうなんですかお兄様!?」
「だ…、だって僕も珠姫の看病をしたかったんだ…!」
もぐもぐ。
「自分の私利私欲のために優姫が珠姫に「あーん」するという滅多にないチャンスを奪おうとしたんですか!?信じられません!」
「大人げないにも程があるわよ、李土」
「うぅ……」
―4/9―
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