episode16
「珠姫、入るわよ」
「大丈夫?珠姫」
お兄様からの思わぬカウンターに息も絶え絶えになっていると、お母様と優姫がやってきました。
「あら、枢が看てくれていたのね。ありがとう」
「いえ…。それよりお母様、さっきより熱が上がっているみたいです」
「まあ、ちょっと測ってみましょうか」
ちょっと待ってお母様、お兄様のせいで今かなり熱上がってる自覚あるからもう少しクールダウンしてからの方が……
と思うも反抗する隙もなく口の中に体温計を突っ込まれました。
うおぉぉ、目盛がどんどん上がってくよ。
三分ほど経ったところでお母様が目盛を見ると……
「えーっと……、四十……七、度?」
お母様の目が点になりました。
やばいやばいやばい、人間の身体の限界地越えてる!
吸血鬼じゃなかったら死んでるからこれ!
とにかく萌え滾って火照った身体を急いで冷却しないと!
ヒッヒッフー、ヒッヒッフー
「何度でしたか?お母様」
「おかしいわねぇ…。見て枢、この体温計壊れてるみたいだわ」
「四十七度…?本当ですね、新しいのを持って来させましょう」
いや…、ごめんなさいそれたぶん実際の体温です。
でも一時的なものだから!
もう少ししたら平常値に戻るはずだから!
「珠姫、すごい汗だよ、……ってあっつ!」
私の額に手を当てた優姫はものすごく吃驚した顔をしました。
あ、ごめんゆっきー、熱かったでしょ。
「え…、これ本当に四十七度あるんじゃない?」
「優姫!しーっ!声を落として!」
「もう…、朝は冷えるのにいつまでも起きてごそごそやってるからだよ」
「うぅ……」
仰る通りです。
面目ない。
「はい、りんごすったの持って来たから少しでも食べて早く治して」
「優姫…っ」
えっ、お料理に関しては壊滅的な才能を発揮するゆっきーが!?
ショコラトルデーにトリュフを作った時、丸めることすら出来なかったゆっきーが!?
りんごのすりおろしを作ってきてくれたというの!?
「……お、お姉ちゃんは嬉しいよ……。だだ大丈夫、お腹を壊しても食べきって見せるから…!」
「ひどい珠姫!どうしてお腹を壊すこと前提なの?」
「だって優姫が作ったんでしょ?」
「りんごをするくらい私にも出来るから!」
わあ、顔を真っ赤にして怒るゆっきー可愛いなぁ。
さすが私の妹☆
「じゃあ、食べさせて?」
「え?私が?」
「だって関節痛くて腕を上げるのもつらいんだもんー」
ほらほらお姉ちゃん病気だし?と、うるうるEYEで見つめれば優姫は「しょうがないなぁ」とスプーンを取りました。
たまには姉妹でラブラブするのもいいんじゃない?
お兄様とお母様がばっちりカメラを準備しているのを横目で確認して、あーんと口を開けた時
「珠姫ーーーーーーーーー!!!!!」
雰囲気クラッシャーくるくるおじたまが現れました。
―3/9―
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