とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode15


そんないつものとある朝のことでした。


「おやすみなさい、お兄様」


いつも通りお兄様とキスしたら
……あれ、なんか違和感。


「あれ?」

「どうしたの、珠姫」

「ん…、なんか変なの」


自分で唇を触ってみるけど何とも無い。
んー…、でもなんか……


「見せて。口の中を切っていたりしたら大変だから」

「お兄様…」

「ほら、あーんして」


そう言ってお兄様は私の顎をくいっと持ち上げると、その指で唇を開けて口の中を覗き込みました。

いいぃぃぃやああああああ!!!
ちょっと待ってこのドキドキ感ハンパない!!
その手つきがエロティックだと思う私の頭がいけないのですか!?
いやそんなことはあるまい!!
お兄様の指が性的だと思う人挙手ー!
はい!はい!!はい!!!はい!!!!!はーい!!!!!
そしてお兄様が「あーん」て!「あーん」て!!(大事なことなので二でも再生おっけー☆

もちろんそんな頭の中の喧騒などは微塵も出さずに大人しくしていると(でも程良く頬を赤面させて「お兄様にお口の中見られちゃって恥ずかしい…」な雰囲気は出してるよ♪)
お兄様は納得した表情で何故だか嬉しそうに微笑みました。


「ああ、わかったよ」

「ん…、切れてた?」

「いや、牙が生えていたんだ。おめでとう、珠姫」


お兄様に渡された手鏡で覗いてみると、あらまあホント。
犬歯よりも鋭い、まさしく吸血鬼の証拠である牙が生えています。
でもなんで「おめでとう」なんだろ??


―2/12―

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