とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode15


「「お父様、おじたま、おやすみさない」」


夜明け間近の午前五時。
チェスで一局やっているお父様とおじたまに優姫と二人でほっぺにちゅー。
おやすみなさいのチューは玖蘭家のおうちルールです。


「おやすみ、珠姫、優姫。よく寝るんだよ」

「もうそんな時間か。よし、おじたまが添い寝してやろう!」

「お兄様、チェック」

「なんだと!?」


うわー、おじたま完敗。
まあいつものことだけどね☆
お父様はむちゃくちゃに強いから


「さあ珠姫、優姫、お部屋に行きましょうね」


お母様はぎゃあぎゃあやってる殿方を華麗に無視して私たちをお部屋に連れて行きます。
うん、いつものことながら素晴らしいスル―スキルですね!
お部屋に行ってベッドに潜ればお母様からおでこにちゅー。


「二人とも、おやすみなさい」

「「おやすみなさい、お母様」」


お母様がお部屋を出た時、優姫はもう夢の中。
寝付き良いよねー、ホント。
の○太くんもびっくりだよ!

そんなことを思いながら私はいそいそとベッドを抜け出して、そーっと暗い廊下へ。
こんな夜更け、じゃなかった、夜明けにどこに行くかって?
もちろん決まってるじゃない!!

――コンコン


「いいよ、入って」


うおっと!!びっくっりした!!
お兄様がカッコよすぎて心臓止まるかと思った!!
まあ、いつものことだけどね☆
ランプのほのかな明かりに照らされて読書に耽るその顔容かんばせのなんと麗しいこと!!!
ああ私、お兄様に見つめられるその本の活字になりたい…。

私が寝室に入るとお兄様は読みかけの本をぱたんと閉じてサイドテーブルに無造作に置きました。
そして少し横にずれて私が入るスペースを空けてくれます。


「本はいいの?お兄様」

「構わないよ。珠姫を待っている間の暇つぶしだったから」


やっぱり活字になるのやめた!
だって活字だとこうやってお兄様と毎日一緒に寝るなんて出来ないもんねー。
ふっふっふ!私は私で良いのだ!玖蘭珠姫バンザイ!!

心の中で乱舞しながらお兄様の横に入り込みます。
ああ…、シーツがあったかい……お兄様のぬくもり……デュフフフ。


「おやすみ、珠姫」

「おやすみなさい、お兄様」


もちろんここでもおやすみなさいのチュー。
だっておうちルールですからね!
お兄様とだけはマウス・トゥー・マウスですけどね!!
一日の中でも至福の時です。

今日も良い夢が見れそうだわ☆


―1/12―

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