episode14
「ねえねえ、おじたまは結婚しないの?」
その日のお茶の時間、優姫は早速おじたまにそう問いかけてました。
ちなみに今日のお菓子はチーズタルト。
もちろん優姫はとうに半ホールを平らげてます。
「優姫!とうとうおじたまと結婚する気になったか!いいぞ、お前が望むならすぐにで…ゴフッ!!」
「何を言ってるんですかお兄様?」
お父様のパンチはおじたまの顔面にクリーンヒット!
いつも通りの穏やかな口調ですが目が笑ってません。
それにしてもなんて鮮やかな右ストレートなんでしょう。
ほれぼれしちゃうね!
「ううん、違うの。優姫じゃなくてー」
「だったら珠姫か!?…ゲホッ!!」
「伯父様、冗談も大概にして下さい」
おぉーっと、今度はお兄様の華麗なボディブローが決まりました!
メキメキっと鈍い音が響きます。
涼しいお顔でこの重量感あるパンチ!
ああん!お兄様ったら素敵!!
「お父様、お兄様、違うの。優姫はね、閑さんのことを言ってるの」
ここはお姉ちゃんとして妹の足りない台詞をすかさずフォロー。
ん?言うのが少し遅いんじゃないかって?
そんなことはありませんよ、タイミングは間違えてないつもりです。
だってお父様とお兄様の素晴らしい技が見たかったんだもの♪
「おじたま、フィアンセがいるんだから優姫たちにプロポーズしちゃダメ!」
「そ…、そんな、優姫……(バタリ)」
1、2、3、おじたま、完全にダウンー!
顔に痣を作り、口から血を吐くおじたまにゆっきーの容赦ない一言が炸裂!
どうやらいちばん攻撃力があったようです。
それよりゆっきー、いつの間に「フィアンセ」や「プロポーズ」なんて難しい言葉を覚えたの?
お姉ちゃん感激!お利口さんになったね!
しかしその"メッ"ってするポーズ可愛いな!!
「優姫!そんな…!お前たちと結婚するのがおじたまの夢だぞ!」
「夢は寝てから見るものですよ、伯父様」
「お兄様、優姫の言うことはもっともです。そろそろ閑と結婚したらどうですか」
「そうね、婚約してからもうだいぶ経つでしょう?李土もいい加減身を固めるべきよ」
「な…っ、樹里、お前まで…!」
「優姫、おばたまが欲しいー!」
「ほら、優姫もこう言ってることだし。ねえ李土、今度閑を家に招いたらどうかしら」
「ああ、それはいいね、樹里」
「僕も賛成ですよ、お母様」
いつにも増してお兄様とお父様はすごい結託力だな…。
おじたまが結婚すれば邪魔者が減るからね。
「お前たち、皆揃って僕を厄介払いする気だな!」
「お兄様、その他に理由がありますか?」
「願ってもないチャンスですよ、伯父様」
「くっそー!誰も僕の味方はいないのか…!そうだ!珠姫はどうなんだ!?珠姫は僕が大好きだもんな!おじたまに結婚して欲しくないだろう?そうだろう?」
おーっと、ここで私に振りますかおじたま。
確かに珠姫はおじたまが大好きですよ?
おじたまが結婚しちゃったら遊び相手がいなくなってつまんなくなるなーとも思います。
でもねぇ……
「おじたま?」
「珠姫……」
おじたまの膝に手を乗せて上目遣い。
もちろん小首傾げも忘れません。
そして十八番のエンジェルスマイルはガッツリ120%!!
「珠姫も閑おばたまに会ってみたいな♪」
「珠姫ーーー……」
決定です☆
―2/8―