とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode14


「さて珠姫様と優姫様も九歳になられたことですからそろそろ吸血鬼界の家系について学んでまいりましょう」


ロッテンマイヤー先生のノンブレス台詞は今日も絶好調☆
皆さんこんにちは、玖蘭珠姫です!
いつも遊んでるか叫んでるか萌え死んでいるかに見える私ですが、こうやってちゃんとお勉強もしてるのよ。
えらいでしょ?ね?えらいって言って?


「こちらが本日お勉強する『吸血鬼名家系譜集』でございます」


そう言ってロッテンマイヤー先生が取り出したのは、大きさも厚さも私が前世で使ってた英和辞典の二倍はあろうかという本でした。
え、それって本なんですか?凶器じゃないんですか?


「……本?」


ほらほら、ゆっきーだって首を傾げてるよ!どう見ても本じゃないよねこれ!
工事現場のおじさんたちが運んでるブロックレベルだよ!!
もしかしてその中身を全部見ていくなんてそんな恐ろしいことはしませんよねロッテンマイヤー先生!!
無理よ!そんなの珠姫には無理!!


「この系譜集は古の始祖の代から現在に至るまでの各名家の系譜が網羅されています。ではまず最初のページから見て参りましょう」


前言撤回!!舐めるように全て見ます!!
始祖の代からってことはお兄様の事も記されてるのですよねそうですよね!!
いやだって始祖時代の枢様とか大好物すぎて!!
あれ、だったら本なんかに頼らずお兄様に直接教えてもらった方が良くない?ww


「もちろん一番初めのページには長らく君主として吸血鬼界を治めていた玖蘭家の系図が掲載されています。ご自身の家系がいかに高貴で尊いものなのかとくと御覧なさいませ」


そう言ってロッテンマイヤー先生が私たちに見せたのは見開きのページ。
私はすぐに一番上に視線を巡らせた!!
始祖枢ぇぇええ、発見!!!
ってええ!!??これだけ?「始祖」の二文字だけ!?
もっとこう肖像画とか誕生日とか血液型とか休日の過ごし方とかのプロフィールはないの!?
始祖時代のお兄様に関する情報はこれっぽっちなの!!??
あ、もちろん「始祖」の文字と二重線で繋がった「女」の文字はスル―ね!
胸が痛いのも完全無視ね!!
はいはい、視線を下に向けてぇー、ほら、「悠」と「樹里」の下に「枢」の名前を見つけたよ!
その横に「珠姫」の名前も見つけたよ!
将来何としてでもこの間に二重線を引かせてみせるんだから!!
その時はピンクのペンで書いてやる!!
そしたら吸血鬼界で最強の子孫を残しましょ?
はい、こ・づ・く・り、しま(ry


「あー、優姫の名前あったー!それから珠姫とお兄様とお父様とお母様とおじたまと……あれ?……はい、先生!」


おお!ゆっきーが手を上げた!珍しい!!


「何でしょう優姫様」

「おじたまの横の点線はどういう意味ですか?」


優姫の言う通り、系図のおじたまの名前の横には確かに点線が引かれてました。
そしてその先にある名前は……「緋桜閑」


「ああ、これは婚約中の意味でございますよ優姫様。李土様は三百年ほど前に緋桜家の閑様とご婚約なさっているのです」


え!?
おじたまと閑さんってそんな前から婚約してたの!?


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