とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode13


「…お兄様と、親しいんですか?」

「ええ、仲良くさせていただいているわ」

「ごめんなさい、お兄様からは一度もお話を伺った事がなくって」

「まあそうなの?枢さんったら酷い方。私も今まで貴女のお話を伺った事がないのよ?」


本当はあまり仲良くなんてないのだけれど。
でも本当に、枢さんったら酷いわ。
わたくしが愛らしい少女が好きだってご存知のはずなのに、こんな可愛い妹君のお話をこれまでちっともしてくれなかったなんて!
さてはあの方、わたくしに隠していたわね……。
でも枢さん、もう遅くってよ。
わたくし見つけてしまったんですもの。
絶っっっ対に逃がさないわっ!

すると突然、珠姫の言葉と態度が豹変した。


「お兄様は私のものよ!」


…な ん て こ と !!

清らかな乙女だと思っていたら、まあ…!こんな素顔を隠していたなんて!
……素晴らしいわっ!
愛らしい容貌に底意地の悪い性格!これぞ完璧な乙女よ!!
だってそうでしょう?
シンデレラだってわざとガラスの靴を落としたのよ。
白雪姫は自分の結婚式に継母を招待して焼き殺しちゃうし。
かぐや姫なんて求婚者たちを次々に破滅させておきながら自分はさっさと月へ帰ってしまうんだから。
でもそれこそ真の乙女!真のヒロイン!
美しい花弁に鋭い棘を持った大輪の薔薇!!


「まあ…っ、……素敵な顔ねぇ」

「何ですってぇ!?」

「あらやだ、お気に触ったかしら?そんなつもりで言ったんじゃないのよ?」

「ほほう、それじゃあどんなつもりだって言うの!?」

「そのままの意味よ。お顔だけじゃなくって性格まで可愛いのね」


まあまあまあ…!本当に、可愛らしい子!!

でも……貴女は枢さんが好きなのね……。
殿方なんて自分本位で高慢で汚らわしい低俗な生物なのに…!
わたくしの理想の乙女が殿方の毒牙にかかってしまうなんてそんなの嫌!許せないわ!

枢さん…、貴女に珠姫は渡さないわ!


―7/11―

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