とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode13


ネイビーブルーのワンピースに身を包んだ更は、近付いてきてにこりと笑いました。


「初めまして。わたくしは白蕗更よ。貴女は…?」


くっそう、敵ながら良いセンスしてるじゃない…!
更が纏っているのは深いロイヤルブルーのワンピースドレス。
シンプルに見えて襟元には数種類のケミカルレースが施された細やかな仕立て。
裾には黒のシフォンレースで引き締めながらも甘さをプラス。
淡い金髪に青の瞳にドレスの色がよく映えておりますこと!!
でも私だって負けないんだからっ!
牽制代わりにキッ!と睨みつけた後、打って変わって花も萎れるほどの笑顔でにっこり笑いかけてやったわ!


「玖蘭珠姫です。初めまして」

「じゃあ貴女が枢さんの妹君…?まあ…、まあ…」


なんですって!?まあまあ!!?
会ったばかりなのに面と向かってそんなこと言う!?
そして早速お兄様の名前を出して牽制してきたわね!
"お兄様には親しくさせて頂いているのよ"って!?
むっきーーーー!!!
でもこれくらいのことに動じる玖蘭珠姫じゃないんだから!
これくらいのことで…っ、これくらいの……っ
お兄様ぁぁあっ!更と面識があったなんて聞いてないわぁぁあ!!


「……お兄様と、親しいんですか?」

「ええ、仲良くさせていただいているわ」


…いけしゃあしゃあとっ!
でもっ!お兄様から更のお話なんて聞いたことないもんっ!
へへんっ、お兄様はどうせあんたのことなんてそれくらいにしか思ってないんだから!
ここは思いっきり笑顔で返してやるわっ!


「ごめんなさい、お兄様からは一度もお話を伺った事がなくって」

「まあそうなの?枢さんったら酷い方。私も今まで貴女のお話を伺った事がないのよ?」


ぬぁんですってぇええええ!!??
この女っ!皮肉に皮肉で返しやがったっ!
ああもうまどろっこしいわ!
更相手に猫被ってなんかいられないっ!!

そう判断した私は即座に笑顔を脱ぎ捨てた!


「……お兄様は私のものよ!」

「まあ…っ、……素敵な顔ねぇ」

「何ですってぇ!?」

「あらやだ、お気に触ったかしら?そんなつもりで言ったんじゃないのよ?」

「ほほう、それじゃあどんなつもりだって言うの!?」

「そのままの意味よ。お顔だけじゃなくって性格まで可愛いのね」


くっそぉ!この女ぁあああ!


―5/11―

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