とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode13


しばらくして静かに止まった車から、お兄様に手を取られて優雅に下ります。
さあさあ行くわよ!いざ出陣!!

初めて目にした白蕗邸は、なんというかプチ・トリアノン!
まさにロココといった雰囲気のお屋敷です。

そうそう、悩んだ挙句に今日のお洋服は花柄に決定しました!

全体に散りばめられた華やかなクラシカルブーケ。
お色はミスティモーブでちょっと上品に。(ゆっきーはベージュピンク)
胸元が大きく開いたエプロンドレス風だから、中にはフリルたっぷりの白ブラウスを着用。
後ろは編み上げになっているからラインがすっごく綺麗なの!
更に対抗して大人っぽくしようかとも思ったんだけどね、なにせ私はまだ八歳!
それなら少女らしさを前面に出した方がいいんじゃないかと思ってね!!
髪の毛はふんわりと巻いて、片側だけを編み込んでワンピースと同じ色のコサージュを挿せばうん!ばっちり!


「玖蘭様、ようこそいらっしゃいました。どうぞごゆっくりご歓談ください」


エントランスで出迎えてくれた品の良い執事さんに案内されたのは煌びやかなホール。
彫刻のほどこされた天井に、シャンデリアがきらきらと輝いています。
ゆったりと流れるヴァイオリンとピアノの生演奏。
どうやら立食形式のようで、中央に設けられたテーブルは綺麗な花とさまざまなお菓子で彩られています。

っていうかこれ、パーティーじゃん!
「お茶をしましょう♪」のレベルじゃないわよお母様!!
それとも純血種にとってはこれくらいお茶レベルなの!?ねえ、そうなの!?
うぅ…、この世界に来てだいぶ慣れたつもりだけど、やっぱりこういうときにはギャップを感じてしまうわ。
元庶民としての感覚は簡単に拭い去れないよね…。

まあでもそんなことを思いながら、主催の白蕗夫妻には完璧な挨拶をしましたけどね!
エンジェルスマイル100%!
礼儀正しい態度と無邪気な笑顔で夫妻のハートを完全ホールド☆

そのあとお母様は白蕗夫人とお喋りに花を咲かせ、お父様はお兄様を連れて黄梨さんにご挨拶。
どうやら殿方同士、チェスの話で盛り上がってるみたいです。
ゆっきーは一目散にケーキに走って行っちゃうし。
私は敵陣で一人ぼっち…。

すると背後から鋭い視線を感じました!
コツコツコツと迫り来るヒールの音。
振り向けば風も無いのに何故か揺れる長い金髪。
原作で見た記憶にある姿より少し幼い顔立ちだけど、これはまさしく――


「まあ…、ごきげんよう」


出たな更ぁぁあああああああ!!!


―4/11―

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