episode12
それからしばらく山の中を彷徨っていると、見覚えのある蝙蝠がやってきました。
「ねえ優姫!あれってお兄様の蝙蝠じゃない!?」
「あ、ほんとだ!」
その蝙蝠についていくと、十数分で屋敷が見えてきました。
どうやら私と優姫は、同じ所をぐるぐる回っていたらしいです。
ほんのちょっと離れていただけなのに、懐かしいと感じる家の明かりを見てほっとしたのも束の間
……もう少し迷ってるべきだったかなと思いました。
「ああっ!悠、どうしましょう!私のせいであの子たちが…」
「大丈夫だよ樹里、珠姫と優姫はきっと無事だ」
「下僕たち、何が何でも僕の姪っこたちを見つけ出すんだ!」
「「「はっ、李土様!!」」」
「お父様、この山の付近は蝙蝠たちに探させています」
「悠、元老院の者たちも探してくれている。一翁からも一条グループの調査隊と警備隊を寄こすと連絡があった」
「枢、お兄様、先ほど人間の警察にも協力を要請しました。二百名態勢で捜索してくれるらしいです」
なんか、迷子というより遭難レベル?
屋敷前の騒々しいこと!
でもそんなの気にしてられない!
会いたかったわお兄様!!!
「「ただいまぁーーー!!」」
私とゆっきーは元気に駆け寄りました。
その時のお兄様、お父様、お母様、そしておじたまの顔ったら!
泥と粉まみれの私たちを四人はなかなか離してくれませんでした。
―9/11―