◇戯れごともほどほどに−3/4−
静まり返った教室。全員が中央に座った二人からなるべく目線を外していた。
けれども高速ちら見でたびたび現状を伺う。
「白亜」
そんな貴族たちの心境など露知らず、枢は隣の恋人の名をどこか楽しげに呼んだ。
「僕のどこが嫌いなのか、言ってもらえるかな?」
その表情は妖艶すぎる笑顔だった。
『……』
「きちんと教えてほしいな」
有無を言わさぬ枢の言葉に、白亜はゆっくりと口を開く。
『毎日私を抱きしめて眠るところ…』
「他には?」
『…一日に何回もキスしたり、髪を触ってきたり、耳元で囁くところ』
「それだけ?」
『……っ、私の弱い場所をあえて責めたり、もうだめって言ってるのに止めてくれなかったり、息ができなくなるまで唇を離さなかったり、体洗う時もいろんなとこ触ってきて、それにナースとかメイドとかバニーとかチャイナ服とかっ、この前だって突然目隠ししたり!手錠繋いだり!…でも一番は、ずっとずっと昔から変わらずに私のそばにいて愛してくれるところ!!』
一気にそう叫んだ白亜は頬を紅潮させ涙目で枢を睨んだ。
そんな白亜に負けず劣らず顔を赤くする夜間部生。
二人とも一体いつもどんなことをしているんだ!!
ちらりと軽く批判を込めた眼で枢を見ると、彼はそれはそれは満足そうな笑顔で両手を広げていた。
「白亜、僕のことは?」
そう訊く枢の胸に白亜は顔を押し付ける。
『大っっ嫌い!!!』
「くす、僕もだよ」