◇第一罪:赤い記憶−2/4−
三人を目で追っていると驚くような光景が目に入った。枢と零が手を繋いでいる…!?
ああ違った。零が枢の手を掴んでいるのね。
その手も一瞬で離れて睨み合う二人。
もう、本当に仲が悪いんだから…。
でもそれは仕方のないこと。
枢は零が最も憎んでいる純血の吸血鬼。
そして、優姫も、私も、
枢と同じ純血種。
このことは零はもちろん優姫本人も知らない。
あの子と私は十年前、お母様の命と引き換えに記憶を失い人間になったのだから。
ああ、あの時の情景が
今も瞼の裏に焼き付いて離れない。
あたり一面の噎せ返るような血の海――――。