王妃の日記 | ナノ


 ◇第四十一罪:追憶V―タナトス―−5/9−
王城の中はおろか、王都も近隣の街も村も
その夜、国中が沈黙した。

木々も風も湖も、世界の全てが雪に包まれて眠っているようだった。

タナトスに罹ったすべての人が死を覚悟し
愛しい人と身を寄せながら
またはすでに逝ってしまった者たちを想いながら
静かに静かに瞳を閉じた。

冷たい夜空に輝く下弦の月
冴え冴えと煌く純白の雪の中

低い低い悪魔タナトスの嗤い声だけが響き渡った。

312

/
[ ⇒back]
page:




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -