◇第四十一罪:追憶V―タナトス―−5/9−
王城の中はおろか、王都も近隣の街も村も
その夜、国中が沈黙した。
木々も風も湖も、世界の全てが雪に包まれて眠っているようだった。
タナトスに罹ったすべての人が死を覚悟し
愛しい人と身を寄せながら
またはすでに逝ってしまった者たちを想いながら
静かに静かに瞳を閉じた。
冷たい夜空に輝く下弦の月
冴え冴えと煌く純白の雪の中
低い低い
悪魔
(
タナトス
)
の嗤い声だけが響き渡った。
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