◇第二十九罪:葛藤−8/8−
時期じゃないからとか計画のためとか、贖罪のためとか
そんな事を言ったって結局僕はただ、白亜の血を、白亜の心を、独占したいだけなんだ。
いくら必要だとわかっていても、僕以外の男に君の血を飲ませたくはない。
「そんなこと、あんたに決められることじゃない」
零はひどく不快そうな顔で僕を睨みつけた。
「そうかな、僕は彼女の恋人だよ。他の男に会わせたくないと思うのは当然だろう?」
「恋人だったら相手の意思を無視してもいいのか」
「彼女のためだよ」
「あんた自身の独占欲のためだろ。そんなのあいつを縛るだけだ」
そうだね。
わかっているよ。
その台詞に含まれた意味以上に、僕にはわかっている。
この嫉妬の焔が鎖となって、結果的に白亜を縛り付けたんだ。
だけど、何も知らない目の前の彼に
それを言われたくはなかった。
「……彼女を、本当に縛っているものが何か、知っているのかい?」
零を壁に叩きつけたのと同時に、冷たい銃口が首筋にあてがわれた。
next→第三十罪:同じ想いを抱く者