◇第二罪:ナイト・クラス−6/7−
side 英「…もっとほしいなぁ。…首からいただいてもいい?」
予想外に美味な黒主優姫の血。
それを貪欲に欲する本能のままに、首元に噛みつこうとした刹那、
ヒヤリ
喉に、冷たい金属を感じた。
『優姫を離しなさい。藍堂英』
静かな声が発せられたのは僕の背後。
対吸血鬼用の短剣があてがわれた首から細く血が滴っているのがわかった。
それはあまりに一瞬の出来事で僕は固まっていた。(僕ともあろう者がなんてことだ!)
誰なんだこいつ!?
全く気配がしなかったぞ!
「白亜!?」
腕の中の黒主優姫が叫んだ。
聞き覚えのある名前だ。
…あぁ、もう一人の風紀委員か。滅多に見ないけど。
でも人間がこんなことができるのか?
貴族階級である僕に気配を悟らせず、あまつさえその背後から急所を押えるなんて……。
そんなことを考えていると
ジャキ
「学内での吸血行為は一切禁じられている。血の香りに酔って正気を失ったか 吸血鬼」
錐生零から銃口を向けられていた。