王妃の日記 | ナノ


 ◇第二罪:ナイト・クラス−5/7−
side 白亜

結局、今夜も優姫と零に置いていかれた私。
過去最高の速さで補修の課題を終わらせた二人によって、月の寮に着く直前で部屋に連れ戻されてしまった。
もう熱はないから大丈夫と言っても全然聞き入れてもらえずに。
どうしても私に風紀委員業務をさせたくないらしい。
心配してくれるのは嬉しいけれど、ちょっと過保護すぎじゃないかしら。

手持無沙汰に引き出しから自作の測定器を取り出した。
ピアッサーを改良して作ったそれで指先を軽く挟むと極少量の採血ができる。
そのまま反対側に傾けて振ると、中に仕込んだ特殊な薬液を染み込ませた紙が血液を吸って反応を起こす。

これは血中の吸血鬼因子数を調べる方法。
人間ならば何も反応せず真っ白、吸血鬼なら真っ赤に染まる。
私の結果は、――――グラスの水に一滴だけ血を垂らしたような薄い薄いピンク色。

机に座ってノートを開き、その他のデータと一緒に一週間分をまとめて計算し記録した。
これが終わったら夜中に来る二人のためにパウンドケーキでも焼こうかしら。
ドライフルーツとナッツをぎっしり入れて、少しだけブランデーを効かせたの。
それともお腹を空かせてるだろうから軽食の方がいいかしら。

そんなことを考えていると突然血の香りがした。

しかもこれは……優姫の血。

考えるよりも体が先に動いていた。
窓からそのまま飛び降りて全速力でその香りの元に向かった。

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