王妃の日記 | ナノ


 ◇第二罪:ナイト・クラス−4/7−
宵の刻―――

「我がナイト・クラスが新たに開発した血液錠剤タブレットの効果が世界中で認められた。諸君は我が校の…そして我ら『夜の一族』の誇りだ」

初老の教授が厳かに語る。
普通科とは色違いの白い制服に身を包んだ生徒たちが思い思いに座っていた。
総じて見目麗しく、その瞳は暗がりの中で妖しげに光っている。
昼とは違う顔の夜の教室。

「大したことじゃないわ」

「あんなのはただのグループ勉強ですよ」

「『人間』と共存できるこの環境が、開発の大きなヒントになりましたわね。枢様」

一人の女子生徒が教室の中央で本を読んでいる枢に話しかけた。

「そうだね この学園で学べることを、理事長に感謝しているよ…」

枢はくすりと笑った。

「では、授業を始めよう。本日は我ら一族と人間たちの初めての闘争についてだ。『王妃の日記』によればおよそ三千年前に―――」

頁をめくる枢の手が止まった。
しかし、それは本当に一瞬のことで周りのだれも気付かなかった。

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