王妃の日記 | ナノ


 ◇第十六罪:罪の鎖で繋ぐ絆−5/6−
side 枢

「……白亜?本当は具合が悪いんじゃないのかい?」

白亜を部屋に送りながらそう尋ねると、いつもの笑顔で首を振った。

『そんなことないわ。最近は体調が良いのよ。ついこの前もそう言ったばかりじゃない』

白亜の顔をまじまじと見つめる。
確かに顔色も良く、変わったところは何一つない。
それなのに何かが引っ掛かる。

『……でも、そうね、緊張の糸が切れて少し疲れたのかも』

だから心配しないで、と白亜はやわらかく微笑んだ。

「お願いだから無理はしないで、白亜」

『わかっているわ』

「それじゃあ着替えを手伝うよ。そのドレスを一人で脱ぐのは大変だろう」

『え!?やだ、何を言っているの枢!?』

白亜は真っ赤になって狼狽えた。
そんな様子があまりに可愛らしくて思わず笑みが零れる。

「くす…、冗談だよ。後で星煉を寄越そう」

半分本気だったことはおくびにも出さず、白亜の頬をそっと撫でた。
いつもの表情、普通の体温、無理をしているようには見えない。
気のせい、か…。

『大丈夫よ、もう夜明け近いし…。脱ぐだけだから一人で出来るわ』

「そう?それじゃあゆっくり休むんだよ。おやすみ、白亜」

『おやすみなさい、枢』

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