◇第二罪:ナイト・クラス−1/7−
side 優姫「納得いかない」
理事長室に響くのは零の低い声。
「俺たちの役割って芸能人の出待ちの警備でしたっけ、理事長!!」
バンッと零が思い切り机を叩いた。
いつもなんか怒ってるよなぁ…。
「いやー、大変だよね、毎夕毎夕」
ご苦労さま!っと、理事長はのんきに言った。
ここ、私立黒主学園は普通科と夜間部に分かれている。
見目麗しく、優秀な夜間部の彼らは全員――吸血鬼だ。
普通科の生徒達が知らないこの秘密を守るのが、私たち風紀委員<学園
私と零と、あと一人いるんだけど…
「大変だってわかってんなら風紀委員の頭数そろえてくれ。アイツちっとも役に立たねーし」
零は私を指差した。
「いつも出待ちに遅刻したりサボったりする奴に言われたくないっっ!!」
私はすかさず反論する。
「今日もどこでサボってたのよ!!」
『零は私のお見舞いに来てくれてたのよ、優姫』
凛とした、けれどもやわらかな声が理事長室に響く。
振り向けばそこには扉を開けて入ってくる白亜の姿があった。