◇第十五罪:純白×真紅×漆黒−3/8−
side 優姫気付いたら寮のベッドの中にいた。
窓から差し込む光は東の空に輝く太陽のもの。
あれ……?
私……なにか…忘れてる……?
その日、零も白亜も試験には来なかった。
「……くん」
何で二人ともいないんだろう……
「……黒主くん」
何か……あった?
「黒主くん!」
「呼んでるわ、優姫。委員長が」
「……委員長!?」
うわ……ボーっとしてた
「五科目の……学年試験の結果を聞いてきたよ。……で……うちのクラスが学年最下位だったんだけどね……!」
ひぃ…!やば…
そして委員長……その目は恐すぎデス。
「……黒主くん…君、答案用紙に名前だけ書いてあとは白紙だったそうだね。君のせいで僕のクラスは舞踏祭の裏方さ! あぁあ!せめて白亜さんと錐生くんが欠席じゃなかったら…!!」
瑠佳しゃんと踊れなかったら君のせいだからなぁあぁあぁあぁぁぁぁと叫びながら、委員長は走り去ってしまった。
「……優姫、あなたちゃんと勉強してたわよね?」
「う、うん…。白亜と零に教えてもらったんだけど……」
夕べ、あの後……どうしたんだっけ……?
その時、風が吹いた。
木の下で揺れる細い髪は……
「優姫…?」
何も考えず、煌めく髪を追った。
……どうして忘れていたんだろう。
まり亜さんが四年前の零の敵だということを―――
「まり亜さん…まり亜さん、待って!!」
「ねえ優姫さん、このホールで舞踏祭があるの?」
「とぼけないで!」
思い切り掴んだ彼女の手首はとても細かった。
「零を……どうしたの?」
彼女はくすりと笑った。
「今のところ大丈夫だけれどね……。でも遠からずレベルEに堕ちてしまうでしょうね……。…私は零を救う方法を知っている。優姫さん……取引しましょうか……」
「……とり…ひき…?」
「えぇ。貴女が選べる道は三つ」
まり亜さんは指を一本立てた。
「一つ、貴女自身を私に捧げる」
指は二本に増えた。
「二つ、黒主白亜を私に差し出す」
さらにもう一本加わる。
「三つ、玖蘭枢の亡骸を私に贈る。……さあ、貴女はどれを選ぶの?」
細い三本の指は、残酷な代償をばかりを提示する。
そんなの…選べるのは一つしかない。