◇第十四罪:クイーンは不敵に微笑む−5/8−
side 白亜理事長の私的居住区。
明日の試験に備えて私は優姫に数学を教えていた。
『そう、そこで、このxの値を代入するの』
「……なんで?」
……なんでって……。
優姫…、あなた……
………どうしましょうか。
『はぁ……』
「白亜…?顔色悪いよ?」
優姫は私の額に手を当てた。
今のため息はあなたのあんまりな学習能力に対してだったのだけど……。
「あ!ほらっやっぱり熱もある!」
あら、ばれちゃったわ。
『……大丈夫よ』
「ダメ!白亜はいつもそうやって無理するんだから」
『でも……』
「白亜、優姫の勉強は俺が見るから、お前はもう寝てろ」
すると後ろから声がした。
『……零』
リビングに入ってきた零はいつもと様子が違っていた。
……まり亜のこと、気付いたのかしら。
「白亜、私は零に教えてもらうから、もう休んで」
『…そう……?じゃあ、寮に帰るわ。零、優姫をよろしくね』
確かに今日は体調が悪かったから、二人の言葉に甘えて休ませてもらうことにした。
優姫のことは心配だけど零がついてるなら大丈夫だろうと安心しきって。