◇第十四罪:クイーンは不敵に微笑む−2/8−
side 白亜午後の移動教室。
彼女がこの学園に来てから優姫が心配で一層そばにいるようにしている。
零も何かを感じ取っているのか、いつもより私たちの近くにいてくれていた。
「舞踏祭?」
優姫は何それ?という風に沙頼に聞き返した。
「忘れてたの?」
「あ……、皆で踊るとか興味ないから……」
優姫の言葉に半ば呆れている沙頼。
「そんなことより目の前の学年試験の方がゆーうつで」
「やっぱり忘れているのね……舞踏祭直前の学年試験で"最下位"になったクラスは強制的に舞踏祭の"裏方"の手伝いに回されるという話よ……」
『沙頼……顔が恐いわ』
優姫は本当に忘れていたみたい。
困った子ね。
でもそこが可愛いんだけど。
「心配だよ、黒主優姫くん……」
すると背後から暗い声がした。
「君がいつも僕のクラスの平均点を下げているんだよ……」
「委員長……その言い方はひどいわ」
『そうよ、影山くん。私たちのクラスはいつも最下位ではないでしょう?」
「白亜さんと錐生くんがいてくれるおかげでね。でも、学年首席の白亜さんと次席の錐生くんがいるのに僕たちのクラスの順位がいつも下から数えた方が早いのは……黒主くん!やっぱり君のせいなんだよ!!」
そうね、優姫のテスト結果はいつも・・・だし。
ごめんなさい優姫。フォローできないわ。
「もし僕が瑠佳さんと踊るチャンスを失ったら……一生怨むからね……」
影山くんは執念の炎を燃やしながらその場を去って行った。
身震いする優姫。
「やばい……。死ぬ気で勉強頑張らないと…」
「大丈夫よ、優姫。ここに優秀な家庭教師が二人もいるじゃない」
『沙頼、……それは誰の事かしら?』
「もちろん貴女と錐生くんよ、白亜」
「俺はパス」
零、先に逃げるなんて卑怯だわ。
「白亜〜、お願いっ」
……。
優姫、その上目づかいは反則よ。
『わかったわ。……ただし、スパルタよ』
「ひぃっ」
「良かったわね、優姫」