◇第十三罪:盤上に上がるクイーン−6/6−
side 拓麻「枢、あの編入生……どうしよっか」
わざと軽い調子で尋ねてみた。
事前に教えてくれれば僕も準備が出来たのに枢に聞かされたのはまさかの今日だ。
少しくらい嫌味っぽく言ってもいいだろう。
あんなに火種にしかならない方をこのままにしておく訳にもいかないからね。
「じゃあ一条、君が面倒みてあげるといい」
……え!?
何だって!?
「僕が表立って動くと問題になるし―――」
……枢、君はいつもそう言って、僕に面倒なことを押しつけてないかい?
「―――この学園には彼女の欲しい"コマ"が揃っているからね……」
「駒……ね。そういう言い方も確かにあるか…。揃ったのは偶然?」
答えの解ってる問いを僕はあえて訊いた。
「違う。僕が揃えたんだ……」
枢……
君のいつも哀しみを映しているその瞳は
いったいどこを見ているんだい……?
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