◇第一罪:赤い記憶−4/4−
残酷なまでにありありと目の前に浮かぶ、十年経っても色褪せない真っ赤な光景。術が途中で途絶えてしまったためだろう、私は完全な人間ではなく記憶もそのまま残っている。
吸血鬼因子が中途半端に眠っているせいで体は普通の人間より弱く、ちょっとしたことですぐに体調を崩してしまう。
それでもお母様が与えてくれた太陽と自由は、そんな代償がちっぽけに思えるほど素晴らしくて――――。
だから私はあの日誓ったの。
お母様が与えてくれたこの自由を、優姫を守るために使うと。
でも…
そのためとはいえ、事実を隠し、騙している私を、あの子たちはどう思うのかしら…。
遠くない未来、あの子たちが傷つくことは分っているのに。
すべてが明らかになったとき、
嘘をつき、罪を重ねてきた私を、
どうか、許さないで。
きっとそれが、
私に与えられる罰だから――――。
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