◇第十三罪:盤上に上がるクイーン−4/6−
side 白亜今日は少し気分が良くて久しぶりに見回りに出た。
暗い校舎の影でちらつく白い影。
夜間部かしら……?
でも今は授業中のはず…。
『あなた、ちょっと待って』
振り返った小柄な少女はうっすらと微笑んだ。
「くす…。白亜さん、貴女、なぜそんな格好をしているの……?」
『……あなたは!』
身体は違うけれど、間違いない。
この気配は
『……緋桜…閑……』
「初めまして、白亜さん。私の名前は"紅 まり亜"っていうの」
あどけなさの残る声や姿に似つかわしくない妖艶な笑み。
実際に会ったことはないけれど間違いない、彼女の中身は純血種だ。
『何をしにこの学園に?』
「決まってるでしょ?楽しいゲームをするためよ」
『…優姫に手を出したら承知しないわ』
「どうして?あのコ、とぉってもいいコなのに…」
私はアテナを取り出して、まり亜の首元に突きつけた。
『もう一度言うわ。優姫に何かしたら許さない…!』
「くす、そうね……覚えておくわ」
まり亜はするりと手を伸ばし私の裾を掴んだ。
「ねぇ、白亜さん、貴女の着る制服は"こっち"でしょう?」
『……私は、人間よ』
「そうね……今はまだ……かろうじてってところかしら?」
まり亜はそう言うと、小さく笑いながら闇の中に消えていった。