◇アップルパイは誰の手に!?玖蘭家総出トランプ編☆◇
「ふざけるな枢っ!7の次に2はないだろうっ!」
「余ってるんだから仕方ないでしょう、伯父様」
「お兄様、こういう時には流すのが一番ですよ」
「はい、これで僕は上がりです」
「最後の札もキングなんて嫌味な奴め。…ふっ、しかし悠、悪いが次に上がるのは僕だ。手札二枚のお前にエースは切れまい?」
「残念ですがお兄様、先に上がらせてもらいます」
「…なっ!ジョーカーだと!?お前が隠し持っていたのか!!」
「これで伯父様の三連敗ですね」
「お前ら絶対仕組んでるだろう!」
「お兄様、言い掛かりは止めてください。実力ですよ」
「おじたま弱いねー」
「あ゛ー!!!」
お母様と一緒に作ったアップルパイを、皆がいるリビングに持って来てみたらこの光景。
おじたまが投げたトランプがひらひらと舞い散っています。
「……李土?もちろんそれは自分で拾うのよね?」
後ろから聞こえてきたのはお母様の声。
その言葉は疑問形なのに命令形に聞こえるのはどうしてでしょう。
背筋を走る悪寒でお母様がどんな表情をしているかは見なくてもわかります。
振り向かなかった私はきっと正解です。
直接見てしまったお兄様、お父様、そしてその笑みが向けられたおじたまは、恐怖で硬直しているからです。
とっさに優姫の目を塞いだお父様はさすがとしか言いようがありません。父親の愛を感じますね。
って、ちょっと四人とも!
私抜きでなにしてるのー!!
仲間外しはいけないんだぞぉー!!
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