華麗乙女番外編 | ナノ
◇めくるめく結婚生活編◇



「何なんだ枢!あの外に張り巡らされてる術式は!!」

「ああ、ただの伯父様除けですよ。何か問題でも?」

「大アリだ!!あれじゃあ愛しの珠姫と可愛い華月に会えないだろう!!」

「僕の妻と娘に会わせないように術を施したんですよ、伯父様」

「枢、あとでそれを教えてくれるかな?うちの周りにも張り巡らさないとね。樹里と優姫に近づけないように」

「もちろんですよ、お父様」

「貴様らぁ〜〜!!」


はぁ……。
久しぶりに見る良い光景に溜息。
玖蘭家の美麗殿方が私のために(この場合華月や優姫のことは都合よく脳内デリート☆)争っているなんてなんて素晴らしいのかしら!
だめよだめ!
珠姫はもう枢一人だけのものなのに!
ああでもおじたまお父様!
そんなに麗しい瞳で見つめられたら私っ…私……!!
なーんてなーんてww
うっふっふっふひょっひょっひょww

言い争ってる三人をにこやかに無視したお母様が、綺麗に取り分けてくれたブラックチェリータルトの甘酸っぱさを口の中いっぱいに味わいながら脳内でにまにましていると、ふと隣から小さな溜息が聞こえた。


「はぁ…」

「…華月?どうしたの?」

「おかあさま…」

「なあに?」

「とのがたたちがじぶんのためにあらそうさまをみるのって、うっとりしちゃうよね」


な、なぬ!?
この子の目…爛々と輝いてるわ…!!
本当に五歳児か!?
私の場合トリップしたから五歳の時でも精神年齢は成人してたけれども!
この子は正真正銘、心身ともに五歳のはず!!


「でもしょうがないなぁ。もったいないけど、このままだとおじたましんじゃいそうだからとめてくるかー」


娘のあまりの発言に呆然とする私を残して、華月はとたとたと殿方たちの所へ駆けて行った。


「さんにんとも、はい!あーんして?」

「「「華月…!!」」」

「これでなかなおりね!けんかはめっよ!」


何をするかと思えばこの子は!!
ブラックチェリータルトをたどたどしい手付きであーんなんてされたら殿方たちなんて可愛さのあまり一瞬でコロッよ!!
その効き目は私が一番良く知ってる!!
嗚呼ほら見なさいっ!
おじたまなんて鼻から血を出して倒れてるじゃないっ!!
ハナヂダース李土!!良いもん見れた!!
じゃなくて!


「グランマー、おじたまたおれちゃったー」

「放っておきなさい、華月」

「はぁい♪あ、おじたまのぶんのタルトたべてもいー?」

「いいわよー」


もしかして……これが目的!?
……末恐ろしい子!!


―6/9―

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