華麗乙女番外編 | ナノ
◇めくるめく結婚生活編◇


「あら三人とも良い所に来たわね。今ちょうどタルトが焼き上がったのよ」


ダイニングに着くとテーブルの上には綺麗にお茶の準備が整えられていました。


「華月、久しぶりだね。ほらおいで」

「グランパー♪」


手を広げるお父様にとたとたと駆け寄ってこの上なく可愛く抱きつく華月。
その一挙一動もすべて計算のうちなのよ。
……私と一緒!


「お父様ったら久しぶりだなんて、五日前に来たばかりじゃない」

「かわいい孫に離れている五日は長いよ」

「悠ったら毎日ここに来ようとするのよ?枢と珠姫の邪魔になるから止めなさいって言ってるのに」


まだまだ若いお父様の口から「孫」って単語が出るのは未だ抵抗があるわ。
華月はお父様とお母様の子供って言っても全然通用するよねー。
むしろそっちの方が違和感ない。


「珠姫も華月もこっちに来てたんだね」


嗚呼!この艶やかな美声は私の旦那さm「おとうさまー!」
……って華月!!お母様の見せ場を遮らないで頂戴!!
ここは枢の美声に酔いしれてぎゃー!!とかぐわっしゅっ!とか心の中で叫びつつ
そんなことは微塵も見せないで『枢、待ってたのよ』とかってお得意の猫を被りながら思いっきり抱きつくチャンスだったのに!!!
なぜにあなたが私より先に抱きついちゃってるのよぉぉぉおおお


「グランマがね、タルトつくってくれたのー」

「本当だ。華月の大好物だろう?」

「そうなの!はづきね、あれだーいすき!……でもね」

「なんだい?」

「はづきがいちばんすきなのはおとうさまなの」


きえーい!!
何を言っとるんじゃあ小娘ー!!
その台詞は私の専売特許よ!!
それも頬を軽く染めてはにかみながら言うところがまた!!
一体どこでそんなスキルを身に付けたの!?

と、私が心の中で叫び声を上げていると、ドアの方から別の雄叫びが迫ってきました。


「華月ーーーーーーー!!」


この声は紛れもなく。


「会いたかったぞ!!」

「くるくるおじたまぁー」


輝かんばかりの笑顔で両手を広げるおじたまにぎゅーっとそれはもう可愛らしく抱きつく華月。
まるで幼いころの私を見ているようだわ、ホント…。


―5/9―

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