華麗乙女番外編 | ナノ
◇めくるめく結婚生活編◇



「あれ?こんなところで何してるの?」

「ゆーきちゃんだぁー!こんにちは!」

「こんにちは、華月。今日も可愛いねー」


母娘でバチバチと火花を散らせている部屋へ突然入って来たのはゆっきーでした。

別に驚きもしないけどねー。
週に一度は家に遊びに来てるし?
ちなみにおじたまは二日に一回来てますっ。
私達の新居と優姫がいる実家の両方に一日置きに通ってるみたい。
おじたまって結構マメだよねー。
というかよっぽど暇なんだろうねー。
あまりにも頻繁に来てウザいからって、枢は屋敷の周りにおじたま除けの術式を施してました☆

優姫が入ってくるや否や、私の膝から飛び降りてぴょんっと優姫に抱きつく華月。
まぁまぁ人心を掴む術をよぉく熟知してますことっ!


「華月は本当に可愛いねー。とても珠姫の子とは思えないよ」


…へ?
今何て言った?妹よ。


「何言ってるの!?この子こんなに私にそっくりじゃない!」

「確かに顔は瓜二つだけど性格はまるで逆だよ。この天使みたいな純粋さ。
よかったねー、華月。中身は珠姫に似ないで」


こらこらゆっきー何を言ってるの!?
この子は外見も中身も私そのものよ!!
って反論しようと思ったら当の本人は訳が解らない振りしてきょとんとした顔してるしっ!


「どうしてー?ゆーきちゃん」

「華月は分からなくていいんだよ」


いやいやいや!
絶対この子は分かってるって!
ほらっ!私に向けるにやりとしたその目が紛れもない証拠だよ!
天使の皮を被った悪魔かこの子は!
猫かぶった小悪魔な私の方がまだ可愛げあるじゃあないかっ!!


「華月、お母様のようになっちゃ駄目だよっ」

「はーいっ☆」


無邪気にお返事なんてしちゃってコノヤロー!


「そうだ珠姫お父様とお母様も来てるよ」


あ、ちなみにおじたまも。と華月と遊び始めて三十分後にケロッとした口調で言う優姫。
ゆっきー、そういうことは来てすぐに言おうね…。


「みんなきてるのー?…そういえばいいにおいがする!」

「本当だ、これは…」

「「ブラックチェリータルトだぁ!!」」


仲良く声を揃えてそう言うと、優姫と華月はダイニング目掛けてダッシュ。
ちなみにブラックチェリータルトとはお母様が作る玖蘭家みんなが大好物のお菓子です。

確かにさぁ、ほのかに甘ぁい香りはするけどこの香りだけでそれが何なのかなんて私には分んないよ。
食いしん坊さんは鼻が効くんだねぇ。
って、私もアレは大好きだから猛ダッシュで向かうけどっ!!
あの二人にかかったらタルト1ホールなんてひとたまりもないっ。
何が何でも死守せねばっっ。
ダイニングへ急げーーー!!!


―4/9―

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