華麗乙女番外編 | ナノ
◇めくるめく結婚生活編◇


「はい、おとうさま、あーん♪」

「ん、美味しいよ。ありがとう、華月」

「ねぇーおとうさまぁ、はづきのこと、すき?」

「もちろんだよ、僕のおひめさま」

「はづきもね、おとうさまのことだいすきなのー!」


ちょ……っ!
ちょっと待てーいっっ!
そこ!そこは私の特等席!!
おにいさ…じゃなかった、枢の膝の上は私のものなのにっっ!!

カウチに腰掛けてる枢の上にはツインテールの幼い女の子。
おやつのケーキをフォークで刺して、あーん♪なんてしてる。

ちくしょうこの小娘めっ!
腹を痛めて産んだ子じゃなかったら瞬殺しておるわぁー!!
これがまた私にそっくりなのよっ!
顔も性格も瓜二つだもんだから始末が悪いっ あーあー…。
枢はそんな華月にメロメロで、華月もお父様大好きっ子。
……負けてたまるかっ!


「ちょっと華月、お父様にくっつきすぎよ!」

「いいの!おかあさまだって、いっつもおとうさまにぎゅーってしてるじゃない」

「お母様はいいのっ お母様はお父様のものだから ね、枢?」

「はづきもいいのっ はづきもおとうさまのものだから ね、おとうさま?」

「僕は二人とも愛してるよ。でもね、華月。君は僕たち二人の大切なお姫様だけど、珠姫は僕だけのお姫様なんだ」

「枢…」


枢はそう言うと、私の腰を引き寄せて髪にキスを落とした。

やばい。
やばいっ。
やばいっっ!!
今のはときめいたぁぁぁああああ!!
ふんわり漂う独占欲に心臓ときめきばきゅーん!
子供が生まれてもこうでなくっちゃね!
ふぉっふぉっふぉ♪
五歳の娘なんかには負けないわっ

いちゃいちゃし始めた私達をじーっと見ていた華月は突然枢の胸に顔を埋めた。


「…華月?どうしたの?」

「おとうさま…、はづき、おなかいたい」

「大丈夫かい!?」

「おへやにつれてって…」

「珠姫、僕が連れていくから君は医者に連絡して」

「おとうさまぁ…」

「華月、僕がついてるからね」


枢に抱えあげられた途端、にやりと笑う華月
私にはすぐにわかった。
あれは…………仮病だっ!!

経験者の目は誤魔化せなくてよっ!!
なんて恐ろしい子…!!
ちゃっかり涙目で上目遣いなんて私の十八番もマスターしてるしっ!
さすが私の子だわ!くそぅっ!
枢も枢で簡単に騙されちゃって!もうっ!(私もあの手で散々騙したことはここではスルーで)
せっかくの…せっかくの私と枢のラブラブターイム☆を邪魔しおってあの小娘がっ!!
結婚してからライバルが増えるなんて…嗚呼なんてことっ!


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