華麗乙女番外編 | ナノ
◇更に成り代わってみた◇


(前略)

ということで私!どうやら更さんに成り代わってしまったようです!


えー、私に女王様キャラなんてできるかなぁー。
ホーホッホッホッホ、さぁ、跪きなさい。
…うん、大好きだwww

まぁ別に女王様にはなりたくないけど、金髪の王子は欲しいなー。
綺麗な瞳をくり抜いて、指輪にするのよエメラルド♪
ってそれじゃあ狂愛だ!
スプラッタはむりー。
だからブチッって胸を爪で抉るなんてそんなのできないー。
でも、彼のハートは欲しいけど☆
更になったからには可能性あるよね!
てゆーか一直線ルート?
必ずゲットしてやるわっ!
待ってなさいよ、拓麻ぁぁぁああ!!!

なんて揺り籠の中で叫んだら、泣いてると勘違いされました。



でもね、ある日私気付いたの。
それはいつものように鏡に映る自分を見つめていた時のこと。

ナルシストと言うことなかれっ!
だってこの顔美人なんだものっ!!
ふわっふわの淡い金髪に海のような青い瞳なんて、自分で言うけどお人形さんみたいじゃない!?
成長するごとにますます美しくなる自分が恐ろしくて仕方ないわっ!
ああ、なんて私って綺麗なんだろう…。
でもこうして鏡を見てる自分を客観視すると、白雪姫の継母に見えてくるのはなぜ?w

『鏡よ鏡、この世界で一番美しいのはだぁれ?』
『それは玖蘭枢様です』

あー、それなら納得できるわ。

じゃなくて!

あーあ、早く元老院壊滅しないかなー。
じゃなきゃ拓麻を監禁出来ないじゃない。
もう夜間部は出来てるらしいんだけどねー。
早く言いたいなーあの台詞。
『一翁にあなたを“ちょうだい”ってお願いしようと思っていたのよ…』
ん……!!?
そうか……!!
別にタイミングを待たなくっても、一翁に“お願い”すればいいんじゃない!!
断られそうになったら純血種パワーで頷かせちゃえ☆
白蕗更、目的のためなら手段は選びません!
だってこれが更だしー!

思い立ったら即行動っ!
元老院へ行ってきますっ!



「……今、何と仰いました?更様」

「あなたの孫息子である拓麻を“ちょうだい”と言ったのよ」

驚く一翁に、にっこりと笑ってみせた。
んー、これは拒否されそうだなー。
一翁って確か本音では純血種を疎んじてたし。
こうなったら使うしかないかー。
純血種パワー!メーイクアッ「もちろんですとも!」え?

あれ?まだ力使ってないよ??


「もちろんですとも更様。もっと早くに仰って下されば良かったのに。婚約という形で宜しいですか?それともすぐに結婚を?孫はまだ若輩ですが何卒よろしくお願い致します」

えええええ!!??ちょっと待って!!!
急にキラキラした瞳になっちゃって、どうしたの一翁!?
婚約!?結婚!?
私そこまで言ってないのに!!
……老人の早とちり、ナイス☆
お宅のお孫さんをもらっちゃってもいいんですか!!??
では遠慮なく頂きます!!


「ありがとう、一翁。あら、これからは“お義祖父様”と呼ばなければいけないのかしら」

「そんな…恐れ多いことで「でもそれは嫌だから止めとくわ」……」


お!その表情いいねー。
拍子抜けした一翁の顔!
だって本当にいやなんだもん☆


「ふふふ、では一翁、拓麻は頂くわ」

―――婚約者としてね。

それと明日までに私の屋敷に拓麻を連れて来て、と勝手に告げて私は元老院を後にした。


あれ?なんだかすんなり手に入っちゃった!
でも卑怯な手はそれほど使ってないのよ?
純血の力で従わせたわけじゃないし。
拓麻本人の気持ちは完全スルーだけど!
まぁまぁそこはどうにかなるでしょ。
だって拓麻だし!ww
嗚呼!ついに拓麻に会えるのね!
きゃっはー!!どうしよう!ドキドキしてきたぁ!!


――翌日――


どっきどっきどっき。


私!白蕗更の目の前には!金髪のスリーピングプリンスが横たわっています!!

きゃー!!!生拓麻ー!!!
髪の毛さらさらー!睫毛ながーい!
お肌きれー!さわってみていいかな…?わ、すべすべ。

この際、なんで眠ってるのかなんて関係ないわ!
どうせ一翁のことだから睡眠薬でも盛って連行して来たんだろうし!
あ、もしかして私が『明日まで』なんて言っちゃったからかな?
そういえばあの時、日付が変わるまでに二時間しかなかったもんねー。
だからこんな強硬措置を取られた訳かー。
一翁としては抵抗される時間はもとより説明する暇もなかったんだろうねー。
あー拓麻、ごめんよ…。
でもいじわるするけどね!!
だってもうお昼になるのに、拓麻ったらまだ起きてくれないんだもん!
さすがに寝顔を覗くのは十二時間が限界よっ!

寝ている拓麻の顔だけ(特に目元中心に)陽が当たるように、私はカーテンを開けた。

しばらくするとピクリと動く瞼。
眩しげに歪む表情。
そして、長い睫毛の間から覗くエメラルドの瞳。
けれどそれは、彼自身の右手によって隠された。


「まぶし…」

「やっと目を覚ました…」

「貴女は…白蕗…更…様?」


ぎゃー!!!
拓麻に名前呼ばれちゃったよ!!
嬉しくてにやけちゃうわー。
でもそこは猫かぶりスキルで女王様スマイルに変換するけどっ!
ちゃんと起きたからカーテンは閉めてあげるっ。
胸も抉らないから安心して?


「なぜ…貴女がここに?」

「私の屋敷だからよ」

「…ここは黒主学園の月の寮のはずですが」

「いいえ。あなたは昨晩ここに運び込まれたの」

「……お祖父様の仕業ですね」

「私が一翁にお願いしたのよ」

「え…?」

「あなたを“ちょうだい”って」


そう言って、私はにっこりとほほ笑んだ。

こうして、めくるめく監禁生活が始まったのです。


next≫つづく
―7/9―

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