ねぇなまえ、きみにこわいものはあるか?
僕にはある。あの日差し、僕はあれがとても、そうとてもとてもこわい。こわくてしょうがなくて、僕はいまにもなきだしてしまいそうなぐらいだ。
だってなまえ、あの日差し…太陽は確実にきみをつれていってしまおうとしているからだ。僕はなまえがいないなんてかんがえられない。かんがえたくもない、が妥当かもしれない。僕はとても、おくびょうなんだ。こわい、こわいよ。
なまえはどんどん干からびていく。僕は干からびないようにと水をかけた。けど太陽は僕に味方しない。かけてもかけてもどんどん干からびてって、かけてもかけてもかけてもかけてもかけてもかけてもやっぱりダメで。僕はどうすればいいんだろうか。いま僕にはなにができるんだろうか。なにをすれば、なまえは太陽につれていかれないのだろう。
なまえを、城主にしてあげようとおもっていた。そう、僕の主。なのに太陽は僕の主をつれていくんだ。
太陽はあったかいものだとなまえはいっていた。だけどなまえはうそつきだったみたいだ。太陽はあったかくなんか微塵もなくてただただ熱いだけのこわいもの。
太陽はこわいよなまえ、僕はなまえがいいよ。なまえは熱くなんかなかった。あったかかった。だから僕は、干からびてしまったなまえをだきしめた。
でもなまえにもうあのぬくもりはなく。
だからせめて、氷になってしまった彼女を凍らせて、それからしずめてあげようと、冷たい水に彼女を放り込んだ。
ここが砂漠じゃなければ、僕はこわいものをしらなくてすんだのかな
12.07.10
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