病み部屋 | ナノ


俺様しかいらないだろ?
瀬古さんが私の携帯を海に投げ捨てたのは一週間前の事。瀬古さんのあの時の暗い目は恐怖を覚えさせられた。何も光が入っていない様な、本当に私しか見えていない様な、そんな目。本当に恐かった。恐ろしい目だった。
でもあの日から瀬古さんの目はあの時の様な目に戻る事はなく、通常通りだ。でも、時々一緒にいて恐くなる。またあの時の目に戻るんじゃないかと。私はこのまま瀬古さんといれるのか、私は瀬古さんと離れた方がいいのではないか。でももしかしたら私の見間違えだったのかもしれない、そうであって欲しい。


「瀬古…さん」
「ああ、なまえか。どうした?」
「け、携帯新しくしたんだけど、どう…かな?」


チラリと新しく買ったおニューの携帯を瀬古さんに見せれば瀬古さんが目の色を変えた。水没したとはいえ私の携帯のデータは残っていた。きちんと友達のメアドなども入っているし、バッチリだ。瀬古さんは私の携帯を見て、私を睨んだ。私はとっても恐かった。まさか、彼氏にこんな目を向けられるなんて、思いもよらなかった。


「俺様しかいらないんじゃないのか?」
「だ、だって友達とメールした…」
「俺様が一番だろ?」


嫉妬の領域を超えてる。こんなのもうただの束縛だ。いや、束縛よりも酷いかもしれない。この人の一番になりたい欲がこんなに強いなんて。
私はやっぱり、離れるべきだったのだ。



「俺様は気に入ったものは手放さない質なんだ」



放してもらえそうにも、ないけど。





―――

一番欲が悪化してただのヤンデレに




12.06.12



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