病み部屋 | ナノ


何もする事がないから彼の写真をじっとりと見つめていた。彼の綺麗な赤い目は私に向かって優しく微笑んでいた。何もする事がない、というのは嘘だ。したくない、だけ。ポタリポタリと写真に落ちる水滴は何もできなかった私を嘲笑っている気がした。助けてと、写真の中の彼に向かって叫んだ。きっと彼ならば私の手をとり笑って抱き寄せてくれるのに。そして優しく私に愛の言葉を紡いでくれるのに。彼も愛の言葉ぐらい私に紡いでくれる。だけど貴方から欲しい。今でも私は貴方を愛しているのだから。貴方は勝手にどこか遠くへ行ってしまったけど…。もう帰ってきてはくれないみたい。ああ、私を今ここに縛りつけている彼が帰ってきた。まだ私は貴方に浸っていたいのに。


「また檜山の写真を見ていたのか…?」
「私の彼氏は、蓮だけ…」
「…、そうか。なら今日もやらなきゃいけない事があるな」
「…!い、嫌!私は蓮の……」


有無を言わさず床にそのまま押し倒された。ねぇ蓮来てよ、助けて、お願い。私は宇崎さんのものじゃない、蓮のものだって主張して…。





―――

何だか怪しい文に…




12.01.11



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