病み部屋 | ナノ


嫌いだと彼は言う。さっきまで好きだと私に紡いでいたその唇は急に私に愛を囁いてくれなくなる。それが堪らなく恐い。辛いのではない。恐い、恐い、恐いのだ。どうしてそんな冷たい目ができるのかと。さっきまでの優しいあなたは一体どこなのと、問いたくなってしまう。笑っているのに笑っていない。ああ、こっちが本音なのかもしれない。本当に私が嫌いなのかもしれない。そうか、私が邪魔なのか。なら何故私を隣に置いたりなんかしたのだろう。彼は必要のないものは切り捨てていく筈なのに。あの優しい目が嘘だったとは思えない、思いたくない。今だって寂しげな瞳で見ているの、きっとそう。ほら、ほら、またこうやって希望が生まれてしまう。だからまたこうして彼にすがってしまうのだ。


「…嫌わないで、私はあなたを愛してるの。だからお願い、愛して…?」


そうすると彼はフッと笑って私にまた愛を囁いてくれる。心底嬉しそうに。


「ああ、あれは嘘だ。嫌ってなんかいないさ」


何日か経つとまた彼は急に私に嫌いだと冷たい目で告げる。そのたびにすがってしまう。でも私にすがる以外の手段はないから。
今日も彼に愛してると、だからまた私を愛してと、すがる。





―――

え?相手誰でもいい?
イメージは檜山さんなんですよ




11.12.22



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