ボルテ | ナノ


街で偶然出会ったオニイチャンになぜかアイスを奢ってもらった。微妙に空気が冷たい中の外アイスは寒いと感じながらも、これはこれで悪くないとも思えたり。風邪はひきたくないけれど。


「なあ、今日っていいオニイチャンの日らしいぜ!」
「あ、語呂合わせだよね。1123でいいにいさんって」
「それ! だから、今日はなまえのいいオニイチャンになろうと思ってアイスを奢っちゃったんだぜ!」


美味いか〜? とにこにこ聞いてくるオニイチャンに、ちょっと寒いとは言えずに美味しいよと笑い返す。屈託なく笑う彼はもうとっくにいいオニイチャンだっていうのに。


「でもな、オレ、今日なまえのオニイチャンになろうとして、わかっちまったんだ」


アイスを食べる手を止めて、オニイチャンの顔を見る。真顔になる彼に口をつぐんだ。


「やっぱオレ、なまえのオニイチャンよりカレシ? になりてーな!」


驚きすぎて鼻にアイスをつけてしまった。甘い匂いがする。ベタベタする。それでもこの鼓動がごまかせない。


「ははっ、なまえベッタベタだ!」


オニイチャンのせいですよ。目で訴えながら、手渡されたグチャグチャな紙で鼻を拭いた。





―――

オニイチャンはいいオニイチャン!




18.11.25


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