ボルテ | ナノ


世間的に、私はもう死んだと見られているのだろうか。新聞やニュースなどで私の話題が上がる度、きっともうダメだろう、無事ではいないだろうと残念そうな顔をされているに違いない。もしかしたら、この状況を予想する人もいるかもしれないけれど。でもきっと誰もこの状況を知らない。本当の意味では、知ることができない。


「こうなるとわかっていながら、俺についてきたお前さまが悪いのさ」


適当な道案内、面倒そうであり、巧妙な惑わし。私に施されたのは、彼のいつもの手口なのかどうかはわからない。確かめる術も持たない。
ここはレーダー探知の届かない場所。誰に連絡を取ろうとしたって携帯は圏外。空の彼方につれてこられたんだ、当たり前か。


「…もううんざりしてたの」


この家から出ようとして、出られなくて嘲り笑われようと、時には押し倒されて性交を強いられようと、気まぐれで延々と演奏を聴かされようと、それで構わない。たまには外の景色が見たいというわがままもあるにはあるけど、地上にいるよりずっといい。


「ここにいたら笑うんだな、お前は」


だって彼、ベラは地上にいる私を案じて、半ば無理矢理とはいえ、ここにつれてきてくれたんだもの。最初はこんなことになるとはわからず、彼についていって後悔したけれど、すぐにそれもなくなった。彼の演奏を穏やかに聴きながら、地上のことをだんだん忘れていくのがとても幸せに感じるの。


「ベラがそうさせてるのよ」


でもやっぱり、たまには外が見たいなあ。あんなに綺麗なんだもの。





―――

ベラの家のお外はとっても綺麗そうですよね




18.02.26


戻る

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -