「あれ、なまえなんだか少し丸く…」
「えっ」
思わずビクリと肩が震えたのを果たして彼は気づいてしまっただろうか。おそらくだけど気づいていないことはないと思う。烈風刀くんは結構、私のことにはなぜか敏感で見逃してくれない。
「……なまえ、不節制したでしょう?」
「う、だ…だって」
「正月太り、してませんか」
ジト目で見られ、詰まってしまう。彼の言う通りだから反論しようもない。顔を逸らせば、呆れたようなため息が耳に伝わる。呆れられて当然なのも知っているが。
「したんですね」
「…体重計には乗ってないから正しくはわからないよ?」
「なまえをほぼ毎日見ている僕が言うんです、間違いありません」
「え、なにそれなんかこわい」
ふふんと得意顔をする烈風刀くんから飛び出た発言はひとまず気にしないことにして、言い訳を探る。だが烈風刀くんは私にそれ以上は何も言わせないつもりらしい。
「なので、しばらくの間の体調管理は僕に任せてくださいね、なまえ」
にっこりと笑う彼は、有無を言わせる気がない。これまでの経験でそうだろうとは思っていたけれど、きっと私が嫌だと言っても無理矢理作ったご飯を嬬武器家にわざわざつれてきて食べさせてくれるんだろうなあ。
「…間食とかも、ダメだよね?」
「はい、もちろん。……正直言うと丸くなったなまえも可愛いですし、悪くはないのですが…健康を損ねていると思うと見過ごせません。だから、できますよね?」
「ぐぬぅ……できます」
どう言ったら私がやる気になるか、ツボを心得てる烈風刀くんはちょっぴりずるいと言いたくもなるけど、ひとまず増えた体重を戻すことに専念しようか。
…しばらくはきっと、あれの誘惑がとかこれの誘惑がとか言って烈風刀くんに止められるんだろうけど。彼がついててくれるなら悪くないと思ってしまう自分がいるからもうしょうがない。
「…で、家のお餅をヘルシーに減らす方法知らないかな?」
「…雷刀にでも食べさせましょう」
―――
正月太りは烈風刀くんにはチャンスなのです
18.01.06
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