ボルテ | ナノ


身体に悪そうな色。色んな奴がそう称した飴をくわえながら、いつものズノーロードー中。
だが今の俺には集中力がない。自分でもわかるぐらいに頻繁に目を離して、チラチラ、チラチラ。


「何で今日はいるんだよ…」


呟きながら、彼女を見る。
なまえだけならいいのに。そんな言葉は心の中で呟くだけにしておいた。
なまえがいてくれている今日に限って、冷音も灯色もサーバールームに勢ぞろいしてやがる。冷音は嬉しそうだし、灯色は珍しく起きて寝ぼけながら話してるし。
でも、俺が一番気に入らないのは。


「だぁー! なんなんだよ、なまえ!」
「はあっ? 何、いきなり!」


とうとう作業を中断して、なまえの方へズンズンと寄っていく。
彼女は困惑した顔でおろおろと俺を見ている。


「いや、なまえは悪くないんだけど…、あー、くそ!」
「え、なになに、どうしたの、魂くん!?」


グシャグシャッと後ろ頭をかいて、なまえの隣に座り込む。
あんな作業、後でいくらだってやってやる。やめだ、やめ。


「そっちばっかじゃなくて、俺とも話そうぜ、なまえ」


うまく笑顔は作れなかったが、なまえがしょうがないと言いながら俺の方を向いてくれた。
それだけで飴の味も忘れちまうぐらい嬉しくなったから、なんとなく照れ隠しに飴を噛み砕いた。





―――

話したいのに話せない魂くん




15.10.13


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