ボルテ | ナノ


「えっ、ちょっ、何、なに!?」


夏休み最大の敵、宿題。それらを打ち倒す最後のラストスパートをハニーちゃんの喫茶店でかけ、見事打ち倒した私。
清々しいであろう笑みでお店を出た時の話だった。いきなり腕を掴まれ、何故だか彼、赤志魂くんに捕まった。
行こうぜ、なまえ。それだけ片方の口角を上げ、言ったかと思えば有無も言わさず彼は走り出す。どちらかといえばインドアっぽい彼だが、意外に走るのは遅くない様だ。


「もっ、ちょ…、なんなの魂くん…!」


連れてこられたのは学園のとても重要な場所、サーバールーム。状況の飲み込めない私を迎えるのは、ぎこちなく笑う冷音くんと気だるげに拍手している灯色くん。
どうにも状況が把握出来ていない頭に更に追い討ちをかける様に、突然のクラッカーが私を襲う。


「なまえ、ハッピーバースデー!」
「お…おめでとう…なまえ」
「なまえ、誕生日なんでしょ…? おめでとう」


クラッカーを持ったテンションの高い魂くんと、呟く様な冷音くん、それからほんのり眠たそうな灯色くん。
それぞれの祝いの言葉を受けながら、ただ一言、ありがとうとしか返せない。


「あ…、なまえ。これ、用意したから、一緒に食べよう」
「え、ケーキ? ありがと、冷音くん!」
「終わったら一緒に寝よう…。ボクはもう…眠たい…」
「ケ、ケーキだけは食べようよ、灯色くん!」


満足そうに笑ってる魂くんも引き入れて、ケーキを囲む。
ホールで1つだけれど、このメンバーなら食べ切れそうだ。


「…3人とも、ありがとう。すごく嬉しいよ!」


いきなり連れてこられた時はびっくりしたけど、こんなサプライズなら悪くないか。
ついつい顔もほころぶし、みんな笑顔だし、今日はとっても、素敵な日だ。





―――

誕生日の妹に捧ぐ(2つめ)




15.08.31


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