ぼんやりと窓の外で流れる雲を見つめていたところ、ふと視界に入るピンク色。
「よ、っと…」
「うわっ、識苑先生!?」
入ったと思えば、窓から飛び込んでくるその人、識苑先生。あんぐり口を開ける私など気にせず、先生は何もなかったみたいな顔をしていて。
「も…もうっ、識苑先生! いきなり現れないでくださいよ!」
「あー、ごめんね。でもこっちのが早いからさ」
「心臓に悪いんですってば…!」
胸に手を当てれば、普段よりそこがバクバクと言ってるのは明白。
悪気など全くなさそうな先生はへらへらと笑って、それはごめんねー、と適当な謝罪を繰り返すだけ。
「…そのうち私、つり橋効果起こしちゃいそうです」
「え、そんなに驚いちゃった?」
「心臓に悪いレベルには!」
まあ、何事も適当なこの人に何を言ったって無駄だということはわかっている。だけれど、私はこの学園で、識苑先生だけにいったい何回寿命を縮められたのやら…。と思えば言わずにはおれず。
「ま、みょうじなら先生構わないかなー」
「…えっ」
「みょうじ見かけるとついつい驚かせに来ちゃうし、反応面白いし、先生のこと先生に言いつけない保証増えるし、まあいっかな〜、みたいな」
ドカン。
相変わらずのへらへら笑みで突然投げ込まれた爆弾は、私を見事に直撃し、私を真っ赤にさせる。
「……でもっ、いきなり現れないでください!」
私の寿命が色んな意味で縮むので。その言葉は胸に押し隠して、私は教室に逃げ戻るしかできないのだった。
―――
※これはギャグのつもりです
15.08.22
戻る