――ここまで考えることが同じだと、笑っちゃうね。
心の中で呟きながら、口元を押さえて肩を震わせる。
「どうした、なまえ!?」
「具合でも悪いんですか?」
「いや、なんかおかしくて…、ふたりとも私と考えること全く同じなんだもん…!」
とうとう口から声が漏れた。ぱちぱちとふたり同時にまばたきをしてから、雷刀くんはほんとだなと一緒に笑ってくれ、烈風刀くんはそんなことかとため息を吐く。
「あっ、ふたりとも! イルミネーション! 綺麗!」
「うおー! マジだ! さっすがなまえ!」
「はしゃぎすぎですよ、ふたりとも…。でも本当です、確かに綺麗ですね」
指さす先のイルミネーションに、三種三様反応は違えど、みんな目を奪われている。
「やっぱり下見、ここで正解だったかも」
「このイルミネーションなら…僕の計画も…」
「すっげー! なんかテンション上がるなー!」
実は私たち、最初から三人で行動している訳では断じてない。私も雷刀くんも烈風刀くんも、目的はみな同じ、下見だ。
ふたりとはついさっきばったり出会ったばかりで、まさかの遭遇に驚かずにはいられなかった。
ちなみに下見とはもちろん、クリスマスに好きな子と来る為のだ。
「こういうの何て言うんだっけ…? えーっと、げ…ゲッカン的?」
「幻想的でしょう…。雷刀なりに思うところがあったのだけは伝わりました」
「うんうん、幻想的だよね! いやあ、一緒に観てるのが私なんかで申し訳なくなるレベルだよ」
「オニイチャンはなまえと見れて嬉しいぜ!」
「もちろん、僕もですよ。あなたは大事な友人ですから」
「うわ、ふたりとも優しいな…。ありがとー、先にふたりと観れてよかった」
えへへー、と笑ってみせれば、ふたりとも笑い返してくれる。それだけのことが嬉しくて、また笑みが漏れていった。
例え、もし私がクリスマスにフラれたとしても、きっと私はこの光景を思い出して、懲りずにイルミネーションを観に来てしまうのだろう。
「当日は寒いだろうから、マフラーと手袋は必須かもね」
「マフラーと手袋、ですか…。わかりました、ありがとうございます、なまえ」
「マフラー、手袋な! オニイチャン覚えたぜ!」
ふと口にした言葉への反応から、ふたりの当日の行動が透けて見えてしまって、また笑った。
頑張ろう、との思いを胸に、私はふたりとバックのイルミネーションたちをしっかりと目に焼き付けた。
―――
友達とイルミネーションを楽しむのもいいかと
15.12.24
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