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※レイズ設定



ほっとけない、そんな一言で片付けるにはあまりに僕は過干渉で、それをなんとなしに自覚してはいた。けどそれをどう受け止めるべきかというのは全く分からなかったので、特にそれに対し意識するだとかそういうのはなかった。いや、類似例はあったけれど、一致すべきでないと僕が心の底で判断したのか。


「また貴女ですか、なまえさん!」
「…え、えへへ……ミスっちゃった」


大きな音を聞きつけ、なんとなく予想はできたものの駆けつけてみれば、そこには僕の予想通りなまえさんが困ったような顔で笑っていた。へたり込んだ彼女の周りには物が散乱していて、散らかしたと言うよりは散らかってしまったという表現が正しいように思う。


「…何をしてるんですか、倉庫で」
「あー…、えっとね」


経緯を聞き出してみれば、彼女は倉庫に物干し竿を取りに来ていたらしい。ここ最近で前から人数の多かったこの場所がより大所帯になったので、洗濯物をより効率的に乾かす為に物干し竿を追加で持って行ってあげようと。誰に頼まれた訳でもないみたいだが、この人はよかれと思ってが空回りする傾向にある。今回もどうやら例に漏れないようだ。


「ごめんね、手伝わせて…」
「いえ、これぐらい構いません。…なまえさんだけに任せたら悪化しそうですから」
「うぐっ…、返す言葉がない…つらい…」


ごめん、と困った顔をする彼女を見るとため息が出る。このため息が呆れからくるものじゃなくて、それに対する上手い返しができない誤魔化しである事はもうとっくに理解していた。そして、彼女がそれに対して更に罰が悪そうな顔をする事も。


「ん…っ」
「貸してください。その高さじゃ届きません」
「…そうだね。これ以上なんかしたら困るし、大人しく任せます!」


なまえさんは空回りで何か起こしてしまうと、程度は違うようだけど毎回ショックを受けている。その直後は大体反省ともただの卑屈とも取れる発言が目立つのがその証拠だ。今のは恐らく反省だろう。


「…あの、なまえさんはきっと勘違いしているだろうから言いますけど」
「え? う、うん」


面と向かって言うのは何だか気恥ずかしいので、棚に物を戻しながら口を動かす。人に物を伝える時は目を見て、とは幼い時に教えられたけれど。


「貴女を手伝うの、迷惑なんかではありませんから。むしろ、僕は喜んでやっているので」
「……そうなの? てっきり私、」


そこでなまえさんは言葉を止めて、笑い声を漏らす。そして何故だか僕の頭を撫でてきて、嬉しそうに笑う。


「いつも一番に助けてくれるのはヒューバートだね。ありがとう、ヒューバート」


この胸の高鳴りと満たされるような幸福感は、確かに知っているもので。けれど気づいては、認めてはいけない気がするのは。


「…貴女が危なっかしいからですよ、なまえさん」


頭に浮かぶ顔が2人になってしまったのが何を意味しているのかは、やはりとっくに知っているのに。





―――

揺れるヒューバートが書いてみたかっただけ




18.05.23


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