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召喚士不在時のモンスターというのは、とても暇だ。それは召喚士の部屋であったり、はたまたダンジョンの途中であったりはするけれど、4体で置いていかれていることに変わりはない。


「…まだろくに指示されてない」


思わずため息をつく。なまえがいない間、僕は彼女の仲間の召喚士さんとその相棒たちの戦いぶりを見ているだけ。今日とか、たくさん戦っとくべきなんじゃないの?みなさんたくさん敵モンスターを倒してってるよ。


「…いいなあ」


けど、僕らはなまえのモンスターだ。彼女の魔力無しには動けない。厳密に言うと動けるけど、リスクを冒して彼女に何かあったらと思うと。結局僕らは動けずじまいだ。なんだか、羽根も満足に広げられないや。
僕らの知らない彼女を思う。忙しいんだろうな。僕の知らないところで何か、モンスターの僕なんかには想像もつかないことをしたりしてるんだろうな。
尻尾を地面に叩きつける。この苛立ちは、暴れ足りないからってことにしておこう。


「お待たせ、みんな!」


なんでもないような顔をして現れたなまえは、ほんの少し申し訳なさそうだった。前回攻撃を指示してもらってから随分経ってたし、せっかく使えたものを棒に振っちゃったりしてるから、当たり前なんだけど。
窮屈そうに閉じられていた羽根が、南京錠でも外されたように解放的になった。彼女への流れ弾を防ぐように開かれた翼は、主がいる今、制限は一切ない。


「遅いよなまえ。ほんとは色々言いたいことあるけど…もちろん、これから一気に進むつもりなんでしょ?」
「うん! 遅れてた分、取り戻さなきゃ!」


彼女がいるだけで、僕はこんなに軽やかで。信じられないね、僕だって龍の子なのに。


「アイト、任せたよ!」
「了解、任された!」


なまえに信頼されているっていうのが、また力になってるのかな。
ああ、でも。攻撃タイムが終わったら、ちゃんと僕らのことを思い出してほしいって、きちんと話しておこう。





―――

アイトワラスは優等生




17.04.12



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