練習の休憩時間は、私達マネージャーが一番急がしい時。用意しておいたドリンクとタオルを、できるだけ早く選手全員に配布しなくてはならない。みんなを待たせる訳にはいかないからね。

ナイツオブクイーンはマネージャーが多いから、日替わりで担当する人を変えてる。今日の私の担当は、ナイツオブクイーンのキャプテン、エドガーさんと、ギャレスさんとエッジさん。


「エドガーさん」


長くて綺麗な髪をふわりとさせながら彼がこちらを向く。それだけで絵になるなんて、本当にかっこいいと思う。

ここだけの話、私はマネージャーに成り立ての頃からエドガーさんに憧れてる。恋愛感情としての好きとか、ただ尊敬の好きとかはよく分からないけれど、とにかく私はエドガーさんに惹かれてる。


彼にドリンクとタオルを渡してから、できるだけ不自然にならないように「お疲れさまです」と声をかける。
今の私はちゃんと笑えてるだろうか。緊張しすぎて、引きつった顔になってないだろうか。
不安はたくさんあるけど、エドガーさんにドリンクとタオルをちゃんと渡せたんだ。そう思ったとき、自然と顔が綻ぶのが分かった。


次はギャレスさんに渡さなくては。そう思い、エドガーさんの横に居るギャレスさんに話しかけようとしたとき、斜め前に居るエドガーさんの、私を呼ぶ声がした。


「名前さん」


私よりずいぶん背の高いエドガーさんを見上げると、彼の優しい声と顔。
目が合ったら急に恥ずかしくなって、視線をそらしてしまったけれど、もう一度目を合わせるなんてできそうにない。

行き場のなくなった視線を泳がせていると、頭に何か乗る感覚。
それがエドガーさんの手だなんて、私には考えられなかった。


「いつもありがとうございます」


そう言って優しく微笑む彼が、とてもまぶしくてきらきらしてて、これは恋なんだなと理解するのにそう時間はかからなかった。




裏返りそうな声で返事をしたあと、私はちゃんとギャレスさんとエッジさんにドリンクとタオルを渡せただろうか。

練習が終わった帰り道、一人に夢中になって、他の選手に気を配れないなんて、私って駄目だなと反省したけれど、彼に撫でられた頭が、まだ熱い気がするのが治るわけなんてなかった。




友達からのリクエストで。エドガーさんのキャラがつかめません
てのひら/111211