嗚呼、
何も感じない。
もう少しで、高校生活最後の日が終わる。会長の答辞。在校生の歌う蛍の光。今日は卒業式だ。
仰げば尊しのメロディーが流れはじめると隣の女の子はその真っ赤に腫らした目から涙を溢させた。
周りは皆涙を浮かべつつも、必死に声をだそうとしている。
嗚呼、この場で、皆のように泣くことが出来たらどれだけ良いだろう?
今日、やっと分かった。
私の高校生活は皆の様に充実したものだとは言えなかったのだということが。ただ、笑っているだけで良いと思っていたのは間違いだったのかもしれないということが。
緩まない涙腺が苦しい。
泣けないから苦しいのか、周りと違うから苦しいのか。その答えは分かっているのだけどね。
もうすぐ式も終わる。
隣の女の子は正直目も当てられないくらい酷い顔をしている。
それもどうでも良いことなのだけど。
さてさて、この虚しさをどうしようか。
感情を殺して生きてきた代償は、損失。
(090319)
損失